プライベート・エクイティETFとプライベート・クレジット・ファンドが示す2つの教訓

ERSharesとBlue Owl Capitalをめぐる騒動から、投資家が知っておくべきこと

2 Cautionary Tales From Private Equity and Private Credit Markets
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上場/非上場市場投資における2つの注目すべき事例が、両者の境界と投資家の忍耐力を試している。

<公募/私募投資で問題続出>

「ERShares Private-Public Crossover ETF」(XOVR)がSpaceXを含む流動性の低い資産に投資している比率が、SEC(米国証券取引委員会)の規定である15%の上限に抵触している状態にある。一方、急成長を遂げたオルタナティブ資産運用会社が運用しているファンドの一つで、投資家への資金返還についての規則が変更され、その結果Blue Owl Capitalは今、批判の矢面に立っている。

まず、ERSharesの事例について考えたい。モーニングスターのマネージャー・リサーチ部門のマネージング・ディレクターであるジェフ・プタックは、同社とそのクロスオーバー・ファンドの調査を担当している。

プライベート・エクイティとXOVRについての7つの質問

  1. ERShares Private-Public Crossover ETFの投資対象はどんなもので、一般的な株式型のETFとどう違うのか?:上場株式だけでなく、SpaceXなど非上場株式にも投資している。非上場株式は流動性に欠け、上場株式のように明確に時価評価がされないことが特徴である。
  2. この非上場/上場クロスオーバー型のETFは、現金と数十銘柄の上場株式も保有している。このETFは、株式市場全体と比較してどのようなパフォーマンスを示しているのか?:2024年12月1日から2026年3月10日までで、年率マイナス3.6%と、運用成績は上場グロース株の指数やNASDAQ指数に比べてきわめて貧弱であった。
  3. こちらの記事でPtakが作成したグラフ(当ビデオ2分30秒頃にも表示)には、SpaceXの推計時価総額(青)とXOVRの中でSpaceXが占めるウェイト(赤)が示されている。ウェイトを示す赤いグラフは2026年1月の直前に急落し、その後急増しているが、一体何が起きたのか?:12月に入ってSpaceXの推計価値が急上昇し、個人投資家がSpeceXへの投資に熱狂してETFに殺到し、ウェイトは急落した。その後ETFがSpaceXを買い増したことによってSpaceXの比率が回復した。しかしその後大量の資金の流出(以下4参照)によって比率は急上昇した。
  4. 当ビデオは3月11日(水)に収録しているが、2月に投資家はこのETFから数億ドルもの資金を引き揚げている。なぜ彼らはファンドから撤退したのか?: SpaceXの評価額見直しによる利益を期待して参入した投資家が、評価替え後もETFに利益が十分反映されなかったことで失望し、一気に資金が流出した。その結果SpaceXの比率が急上昇し一時は45%にも達した。
  5. この売却により、問題が生じている。同ETFのSpaceX保有比率は、SECが定めるETFにおける非流動性資産の上限(15%)のほぼ3倍に達している。この比率を下げるにはどんな方法があり、運用会社はどのくらいの期間をかけてこれを調整する必要があるのか?:3つのシナリオがある。第一がSpaceX持ち分の売却で、これは運用者がコントロールできる方法である。他の2つは運用者のコントロールが難しいシナリオで、新規資金が流入すれば比率を希薄化できる。もっと運頼みになるが3つ目のシナリオは、好景気で上場株式の評価額が上昇して非上場資産の比率が相対的に下がることだ。いずれにせよSECへの報告義務もあり、規制に沿うよう速やかに比率を下げる必要がある。
  6. 非上場資産の保有比率がさらに増加した場合、どのようなリスクが生じるのか?:流動性リスクが拡大し、不利な条件で非流動性資産の売却を迫られたり、償還が困難になったりする。その兆候があればさらに資金流出が拡大する可能性もある。また、流動性のある上場株式の場合のようにマーケットメイク機能が働かない可能性があり、価格変動のリスクも大きくなる。
  7. 現在XOVRに投資している人や、上場/非上場資産に投資することを検討している人にとって、この事例はどんな教訓を示しているのか?:SpaceXのような眩しくみえる資産に惹かれる気持ちはよく分かるが、この事例をよく見て「悪魔は細部に宿る」と肝に銘じるべきだ。XOVRも良くコントロールされた適切な規模のETFだと思われていた。評価の不透明さ、期待したほどのリターンが得られない可能性、流動性の問題が発生しやすいこと、非流動性資産がポートフォリオでどんな役割を果たし、最終的にどのような損益をもたらすのか。そうした細部を深く理解し、細部にわたって徹底的に検討する必要があることを学ぶことが重要である。

プライベート・エクイティ市場におけるXOVRの流出に関する主なコメント

投資家がこのETFから撤退している理由の一つは、あくまで推測に過ぎないものの、SpaceXの値上がり益を享受したいという期待を持って投資したからではないでしょうか。しかし、現時点で判断できる限りでは、運用会社が2月上旬にポジションの評価替えを行って以降も、XOVRが何の利益も得られなかったと分かると、2025年末から2026年1月にかけて殺到していた投資家の多くが、購入時と同様、あっという間に撤退していきました。その結果、ポートフォリオに占めるSpaceX株式の比率が劇的に膨らんだのです。

モーニングスター、マネージャー・リサーチ部門 マネージング・ディレクター、ジェフ・プタック

<7つの問への回答の要点>

SpaceXはユニコーン企業の特徴を色濃く備えている。ファンダメンタルズの見通しは明るく、さまざまな予測によれば成長しているように見え、キラキラと輝いてみえる。しかし、プタックは、投資家は自分の願望に対して慎重な姿勢を持ち、細部にわたって注意を払う必要があると指摘する。XOVRを運営する企業は、スペースXの特別目的事業体(SPV)における流動性の低いポジションは管理可能だと考えていたが、事態は彼らの予想に反してコントロール不能に陥ったのである。

こうした非上場資産に投資をする場合、投資家は運用会社が非上場ポジションをどのように評価し、それに伴う流動性リスクをどのように管理しているかを理解する必要がある。また、ポートフォリオの中で非上場資産が果たす役割や、それがもたらすメリットについて(投資する当初だけでなく)継続的に注意を払うべきだとプタックは指摘している。

モーニングスターによるプライベート・クレジット市場に関するその他の記事

モーニングスターの完全子会社であるピッチブックのエンタープライズ・レポーティング部門責任者であるアレクサンダー・デイビスが『Investing Insights』に出演し公開市場とプライベート市場の境界が薄れる中で鳴り響く、新たな警鐘について語った。Blue Owl Capitalは、同社が運用する直接融資ファンドの一つ(OBDC II)において、四半期ごとの償還受付期間を停止しルールを変更し、(資産売却などによる構造化された資本変換に切り替えたことで)厳しい監視の目にさらされている。

デイビスによると、この大手オルタナティブ資産運用会社のトラブルは、昨年末に投資家から異例に多額の償還請求を受けたことが発端となったという。Blue Owlは、ファンドの一つを段階的終了プロセスに移行し、ポートフォリオ資産の一部を売却して、投資家に返還する資金に充てることを決定した。デイビス氏によると、投資家や市場からの批判が高まる中、Blue Owlは「ポートフォリオに問題はない」と言って投資家に安心させようとしているという。◇

※ ブルー・オウル・キャピタルとその戦略に関する彼の解説をご覧ください。

<ご参考>

プライベート・エクイティ市場やプライベート・クレジット市場への投資を検討中ですか?モーニングスターのシニア・マネージャー・リサーチ・アナリスト、クリス・テイトが投資家が考慮すべき点について解説しています。また、モーニングスターのCEOクナル・カプールが「Investor First」シリーズで、公開市場と非公開市場の融合についての議論をしています。

このエピソードで言及された証券

ERShares Private-Public Crossover ETF XOVR

Blue Owl Capital OWL

Blackstone BX

BlackRock BLK

Apollo Global Management APO

KKR & Co KKR

Ares Management ARES

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針