※ 本稿はモーニングスターUKによる9月22日付記事「Should I Invest in Mining Stocks or Buy Physical Gold?」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。
<今回のポイント>
- 金の現物はキャピタルゲインを、金鉱株式は配当と自社株買いをもたらす。
- 地政学的リスクと米国の利下げによって金価格は記録を更新し続けているが、金鉱株式はそれ以上に上昇している。
- 2025年年初来の金鉱株ETFのリターンは約100%、金現物ETFのリターンは30%だった。
2025年、金(ゴールド)は世界的な政治・経済の混乱からの逃避先として投資家が選好したため、大きく上昇した。しかし最近は、金鉱株式がそれ以上に大きな上昇を見せている。
金のスポット価格は米ドル建てで年初来40%以上上昇し、2,618ドルから3,719ドルまで値を上げた。ポンド建てで見ると、金の現物上場商品はおよそ30%上昇した。投資家は、ETFのように株式市場で取引されるETCを通じて、金価格の動きにエクスポージャーを得ることができる。
さらに、金鉱株式を保有するETFは、ポンド建てで見ると年初来96%~110%のリターンを記録している。
2023年、2024年は今とは逆に金鉱株より金が優勢だった。Newmont NEM、 Agnico Eagle Mines AEM、 Barrick Mining Bなどの大型金鉱企業の株式を保有する「iShares Gold Producers ETF」SPGPのリターンは、2023年は4.42%、2024年は13.47%であったが、「iShares Physical Gold ETC」SGLNはそれぞれ7.25%、28.7%で、両年とも金ETCが強かった。
鉱業株式は金価格にある程度連動するが、正確になぞるものではない。金鉱株式は金価格よりも価格変動が大きく、貴金属の値動きを増幅する傾向がある。そしてこの2つの資産クラスは、十分に分散されたポートフォリオにおいて全く異なる役割を果たす。
金現物と金鉱株のリターンの違いは、2つの投資が異なる軌道をたどる可能性があることを示している。
通貨もまた影響を与える。金のスポット価格は米ドル建てで決まるが、今年はポンドがドルに対して大幅に上昇している。
金価格と金鉱株価格の関係は?
モーニングスター・ウェルスのアソシエイト・ポートフォリオ・マネジャー、ニコロ・ブラガッツァは、以下のように述べている。
「金鉱事業は、その経営上のレバレッジから見ると、金価格に対するレバレッジのかかった投資であると考えることができます。金鉱企業のコスト構造は、金価格の変動が利益率に与える影響を増幅する傾向があり、その結果、金鉱株の価格は金価格よりも大きく変動することになります」
つまり、金鉱企業は固定費が比較的高いため、金価格が安いと収益が限定されるが、金価格が上昇すると利益率が大幅に改善する可能性がある。
この金鉱企業と商品(コモディティ)価格との関係は、金鉱企業を含むモーニングスター・グローバル・ゴールド・インデックスの金価格に対するベータ値を使って分析することができる。36ヵ月間のデータでは、金価格と同指数のベータ値は1を超えており、これは両者が同じ方向に動きつつ、市場全体よりも高い変動性を示していることを意味する。
以下のグラフが示すように、過去3年間の金鉱株式(青)と金価格(赤)のリターンの推移は、類似した動きを示している。しかし、金鉱株式はこの間、より変動性が高く、今年は特に大幅にアウトパフォームしている。
金の現物を買うべきか?金鉱株式を買うべきか?
モーニングスターのブラガッツァによれば、「それは、ポートフォリオの目的によって異なります」と言う。
「金価格に連動した投資がしたければ、金の現物へのエクスポージャーが望ましいでしょう。一方、より高いリスクをとってもインカムが欲しいならば、自社株買いや配当によってインカムを得ることができる金鉱株式に投資することで、金のエクスポージャーにレバレッジをかけることに興味を持つかもしれません」。
金鉱株式は企業であるから、投資家に配当などを原資としてインカムを提供できる利点がある。一方、現物の金投資では、金価格の上昇以外にリターンの源泉は存在しない、ということである。
「他方で、金現物投資は金価格との連動性が高く、金鉱業に付きものの景気循環の影響を回避できます」とブラガッツァは説明する。
「ポートフォリオに金の分散効果を取り入れたいと考える投資家は、金鉱企業よりも現物金へのエクスポージャーを好む傾向がある」と彼は付け加えている。
欧州籍の5大金鉱株ETF
何が金価格と金鉱株式を動かしてきたのか?
2022年11月にパンデミック後の最低水準を記録して以来、金価格は約125%上昇し、2025年には名目ベースで30回以上、最高値を更新した。そして9月の上昇で、45年以上守られたインフレ調整後の最高値の記録を更新したのである。
過去3年の金のスポット価格(米ドル)の推移
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)であるマーク・ヘーフェレ氏は以下のように述べている。
「最近の金価格上昇の主因は、FRBが今年これまで金利を据え置いたまま、第二波の金融緩和に踏み切るとの期待です」
同氏は、金価格が来年6月までに1オンスあたり3,900ドルに達すると予測しており、これは従来の3,700ドルno
予測を上方修正したものである。
金利の引き下げは米ドルに下方圧力をかけるため、原油や金などのドル建て資産は、世界の投資家にとって割安になる。◇
欧州籍の5大ゴールドETC
※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

