11月の米国ETF市場。暗号資産ETFから手を引く投資家が続出

一方で、レバレッジ型株式ETFは、過去最高の純流入額を記録

ビットコイン、株価表示板、そしてスマートフォンを見ている投資家を題材としたコラージュイラスト。

2025年11月のETF:資金流出入の主なポイント

  • 米国の上場投資信託(ETF)は、1,370億ドルの資金純流入となり、年初来の総額は1兆2,000億ドルに達した。
  • 11月は、モーニングスターの「デジタル資産」カテゴリが、過去最大の資金純流出を記録した。
  • S&P 500指数に連動するETFの「バンガードS&P 500 ETF」(VOO)と「iシェアーズ・コアS&P 500 ETF」(IVV)が、ETFにおける資金純流入額上位にランクインした。
  • 11月の資金純流入は多様なカテゴリに分散されていたものの、投資家はヘルスケアセクターに連動するETFや株式レバレッジ型のETFに資金を投じる傾向が見られた。

11月の米国ETF純流入額1,370億ドルのうち、73%はインデックス・ファンドへの投資であった。アクティブETFは、2025年初頭に好調なスタートを切ったが、10月と11月の純流入額は、年初来で最低となった。

市場全体を表すベンチマークと比較してリターンの向上、またはリスクの低減を目指すストラテジックベータ型のETFは、11月に140億ドルを集め、本年最高の純流入額を記録した。この種のETFは、2020年から2024年では全流入額の約12%程度を占めていたが、2025年年初から11月まででは、その割合が7%に低下している。

下記の表は、株式市場および債券市場の主要セクターを代表するETFの11月のリターンと、価格/適正価値推計値(フェアバリュー)比率の一覧である。掲載されているETFは、モーニングスターのアナリストによって格付けされている代表的なETFである。

November Market Performance Through the Lens of Analyst-Rated ETFs

VOOとIVVが主導、従来型の株式や債券ETFがメインストリームに

モーニングスター・カテゴリでみると、大型ブレンド株式や超短期債券が最も多くの資金を集めた。「バンガードS&P500ETF」(VOO)は純流入額が210億ドルと過去最高を記録し 、バンガードの11月の純流入額の約半分を占めた。VOOとIVVは、純流入額1位、2位を占め 、合計で330億ドルの資金を集めたが、これは、実に11月の米国株式ETFへの全純流入額の過半を占めている。

課税対象債券ETFは約370億ドルの純流入を集めたが、すべてのサブカテゴリに資金流入が見られたわけではない。政府保証住宅ローン担保証券(government mortgage-backed bond)カテゴリでは、20億ドルを超える資金流出が発生した。その多くは「iShares MBS ETF」(MBB)からの流出によるもので、同ETFは約25億ドルの純流出となった。

【純流入/純流出 上位のモーニングスター・カテゴリ】

Morningstar Categories With the Largest November In- and Outflows

ビットコイン、イーサリアム急落の影響でデジタル資産ETFから資金が逃走

現物ビットコインETFと同様に、モーニングスター・カテゴリの「デジタル資産」に属するETFも過去最高の資金純流出に見舞われた。

このカテゴリのETFの資金動向は、通常、投資対象となる資産のパフォーマンスと連動している。例えば、「iシェアーズ ビットコイン・トラストETF」(IBIT)は、ビットコインが上昇しているときには資金流入となり、ビットコインが下落すると資金流出になる。 11月にビットコインが17%急落した時期と、IBITが過去最大規模の資金純流出となった時期も一致している。イーサリアムも同様の結果となり、「iShares イーサリアム・トラストETF」(ETHA)も過去最大規模の資金流出を記録した 。

ETFs With the Largest November In- and Outflows

New Crypto ETFs Are Coming. Here's How Investors Can Prepare

Also, the market may be entering a “melt-up,” and why that could be dangerous for investors.
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投資家は株式レバレッジ型ETFに惹きつけられた

「株式レバレッジ型」カテゴリの純流入額は、過去6か月間とは大きく様相が異なり、11月は全カテゴリ中トップクラスとなった。これらのETFは、株価指数または個別銘柄の短期(通常は日次)リターンを増幅させることを目的とした運用を行うものである(日本のブル・ベア型ファンドに似ている)。この純流入を牽引したのは「 ProShares UltraPro QQQ」(TQQQ)で、20億ドルを超える資金を集めた。

TQQQはナスダック100指数の日次パフォーマンスの3倍の値動きを目指しており、レバレッジを毎日リセットする仕組みは、当然ながらトレーディング志向の商品であり、長期的なリターンを獲得するための運用ではない。2020年初頭から2022年にかけて、元となる指数に連動するQQQが28%の累積リターンを記録したにもかかわらず、TQQQはその間に20%下落している。

November Flows Across Morningstar US Category Groups

利回り重視型ETFから離れる投資家たち

インカム最大化(イールド・マックス)型ETFは11月に過去最悪の資金純流出を記録し、約8000億ドルの純流出となった。とはいえ、年初来でみれば資金流入は依然として堅調である。たとえば、「イールドマックス・ウルトラ・オプション・インカム・ストラテジーETF」(ULTY)のようなETFは、その運用戦略によって多大なインカムを得られると喧伝している。この戦略は、オプション・プレミアムの集積によって実現されているが、これらのETFは「インカム」という名目で、投資家の資金を常に還元し続けているに過ぎない。その結果、これらのETFの基準価額は急速に悪化している。

10月のETFの資金純流出入のプロバイダ別のトレンドは以下の通りである。◇

November Flows for the Largest ETF Providers

※ 本稿はモーニングスターによる「Investors Pull Back From Crypto ETFs in November」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合が、原文が優先されます。

※ 本稿は、情報提供のみを目的としており、特定の金融商品、銘柄などを推奨するものではありません。投資における判断は、ご自身の投資目的、投資期間、資金性格、投資への姿勢などを勘案して、ご自身の責任において慎重に行ってください。

著者はこのレポートで言及された有価証券を保有しています。詳細はこちらをご覧ください: モーニングスターの編集方針